WoWS - キャプは複数で踏むべきか

基礎だけど正しい知識を持っている人は意外と少ないと思う。通常戦のように長い時間を要するキャプでは結構重要
間違いの指摘、ご意見ご感想はやさしくお願いします。

結論

  • 一人が隠蔽状態でキャプを踏んでいる場合、撃たれる可能性がある他の船は参加するべきでない。(誰かが撃たれると、キャプ時間は一人の時より長くなる)
  • 隠蔽状態でキャプを踏む人がいない場合、可能な限り多くの船でキャプに入るべき。(キャプリセットされる量が減る)

基礎知識

キャプエリアの取得

敵または中立のキャプエリア(キャプ)に滞在している船は、毎秒一定のキャプポイントを獲得します。
キャプポイントの合計が一定値に達するとキャプを占拠できます。

キャプポイントについて

減少(リセット)

キャプポイントを所持している艦艇が攻撃を受けると、被弾1発につき所持キャプポイントが0.5倍されます。

増加

キャプポイントは、キャプ内の艦艇数に応じて1秒ごとに1.0ポイントまたは1.5ポイント増加し、エリア内の全艦に均等配分されます。

キャプ内の艦艇数 キャプポイント増加量(ポイント/秒) キャプ完了までの時間(倍)
1 1.0 1.0
2~ 1.5 0.66・・・

つまり、2隻でも12隻でもキャプ取得までの最短時間は変わりませんが、艦艇数の増加に従って一隻あたりの取得・所持ポイントは減少するため、被弾によるリセットの影響を受けづらくなります。

複数隻で踏むべきか?

単純な算数ですがここが本題です。
ここではキャプの占拠を目的とした場合について記述します。係争(敵に占拠させない、敵のポイント増加を止める)状態の維持が目標の際は何隻で踏んでも変化しません。

被攻撃艦艇と安全な艦艇

「被攻撃艦艇」とは継続攻撃(キャプポイントの減少)を受ける船、「安全な艦艇」はそれ以外を指します。
被攻撃艦艇であっても、隻数増加のキャプ時間短縮により攻撃を受けずキャプを取得できる場合、安全な艦艇と見做すことができます。
例:

  • 敵艦バーモント: 装填40秒 + 着弾
  • 味方: 自艦(被発見)と駆逐艦(隠蔽状態)
  • 敵艦の発砲後に味方2隻で制圧戦キャプ(1隻: 60秒、2隻~: 40秒)を踏む場合、敵艦の再射撃より先に占拠できる

制圧戦(60秒制圧)や中央攻略戦(25~55秒)のキャプに関しては、相性次第で被攻撃艦も安全化する可能性があります。
しかし、通常戦(180秒)キャプは最短でも占拠まで120秒を要し、兵装装填時間で安全艦となる組み合わせは存在しません。

キャプポイントの増加速度と隻数

複数隻でキャプを占領する場合、全体のキャプポイント増加速度は次のように表されます
{1.5}\cdot\frac{安全な艦艇数}{安全な艦艇数+被攻撃艦艇数}

増加速度が1.0以上になる、つまり1隻でキャプした場合と同等以上になるのは、被攻撃艦艇1隻に対して安全な船が2隻以上存在するときです。

したがって

  • 安全な味方艦艇が1隻でも存在する場合、攻撃されうる船は無闇にキャプへ入らない、既に入ってしまった場合外へ出る(安全な艦艇へのキャプポイント割当量を減らさない)
  • 被攻撃艦艇しか存在しない場合、可能な限り多くの船でキャプへ入る(一人あたりのポイント割当・所持量を減らす)

ことが最速のキャプ方法になります。

占拠(特に通常戦で重要)へ参加する前に

  1. 自身が安全か、被攻撃艦艇か
  2. 被攻撃艦艇であっても踏まなければいけない場面か

を評価するべきです。2つ目の条件を満たさない限り被攻撃艦は侵入するべきではありません

余談: Wikiの記述における誤りと検証

ランダム戦 - World of Warships Wiki*

  • 陣地内にいる最大2艦の占領値の合計が使われる。その際占領値の低い方は半分の値が使われる。
  • 3艦以上が陣地内にいるときは、占領値の大きい上位2艦以外は占領の計算には使われない(ダメージを受ける等で順位が変わると、占領地の計算に使われるようになる)

との記述がありますが、これは誤りです。
占拠値=キャプポイントと読み替えて問題ありません。

レーニングモードとリプレイ解析を用いて検証します。

方法
  1. 自艦が保持(係争)しているキャプに敵艦を複数侵入させる
  2. 自艦をキャプから出す
  3. 占拠が完了する直前に再度キャプへ入る
  4. 敵艦を射撃し、キャプポイントの減少量を確認する

今回は通常戦キャプ、敵艦12隻を使用しました。

結果

リプレイ:
cap.wowsreplay - Google ドライブ

キャプの状態 全体のキャプポイント(割合) 前の状態との差
敵艦12隻がキャプを開始 0 0
自艦が再侵入 0.9916666746139526 +0.9916666746139526
各艦へ1発ずつ命中 0.9503472447395325 -0.041319429874420166
0.9090277552604675 -0.04131948947906494
0.8677083253860474 -0.041319429874420166
0.8263888955116272 -0.041319429874420166
0.785069465637207 -0.041319429874420166
0.7437499761581421 -0.04131948947906494
0.7024305462837219 -0.041319429874420166
0.6611111164093018 -0.041319429874420166
0.6197916865348816 -0.041319429874420166
0.5784721970558167 -0.04131948947906494
0.5371527671813965 -0.041319429874420166
0.4958333373069763 -0.041319429874420166

すべての船に1発ずつ命中させたところ、各艦艇からのキャプポイント減少量はほぼ\frac{1}{12}\cdot0.5に一致しました。
Wikiの記述が正しい―キャプポイント上位2隻のみ計上され、2位が与える影響は50%―と仮定した場合、占拠完了直前の状態であれば、12隻中いずれか1隻はキャプポイントの\frac{2}{3}を所持していることになりますが、実際の挙動は明らかに異なります。
また、各艦からの減少量が同じであることから、キャプポイントが均等に分配されていることも分かります。

キャプ開始前: 12隻すべてがエリアに入った状態(キャプポイント0%)
キャプ完了直前: キャプポイント99.16666746139526%
命中(1隻目): キャプポイント95.03472447395325%
命中(12隻目): キャプポイント49.58333373069763%

Wikiを信じるな!
私の記事も信じないほうがいいです。信じられるのは自分で検証したことだけ

WoWS - 副砲の手動照準の詳細: ゲーム内に書かれていない仕組み

インゲーム説明文が不親切なので

ゲーム内説明文

任意の目標に対して継続して射撃する際、優先目標に対する副砲の射撃精度を徐々に向上させる。副砲が15秒間使用されなかった場合や、優先目標が変更された場合には射撃精度が低下する。
優先目標が変更された際には、累積された射撃精度の80%が維持される。

動作詳細

副砲散布界係数=1-0.5\timesボーナス

  • 副砲散布界係数: 基礎散布界に乗算される。係数同士も乗算のため、パッシブ発動の副砲散布界-10%(0.9倍)も含めると最良状態で0.5*0.9=0.45となる
  • ボーナス: この値が増減することで副砲散布界係数を変化させる。次章参照

散布界そのものについては下記
kawaii-14.hatenablog.com

ボーナスについて

目標指定の変更ペナルティ

優先目標を変更するとボーナスが0.8倍される。これには目標指定後の副兵装オフ(Pキー)操作も含まれる。
ただし、目標が撃沈された後の変更であれば適用されない。

ボーナスの増減

基本的には副砲の継続射撃時間経過で増加する。
副砲の射撃時間0~10秒、10~45秒でボーナスの増加量が変化する。50%ボーナス(散布界0.75倍)までは10秒と早い。

副砲の継続射撃時間(秒) ボーナス 副砲散布界係数
0 0.0 1.0
10 0.5 0.75
45 1.0 0.5

副砲が発射される度に15秒のカウントダウンが始まり、最後に発砲してから15秒間はボーナスが増加・維持(ボーナス最大の場合)される。
このカウントダウン中に一度も射撃が行われなかった場合、ボーナスは減少し始め10秒で0となる。
また、目標指定の有無によらず副砲が何かに対して射撃していればボーナスは増加・維持され続ける。

WoWS - 戦闘機の出現方向

後で空母Tipsとしてまとめ直すかもしれない

戦闘機の出現方向

ゲーム内部ではオブジェクトの水平方向をヨー(yaw: 北向きを0度とした時計回りの角度座標)で管理している。
哨戒戦闘機は、プレイヤーがコントロールしている艦載機(以下、艦載機)のヨーの符号を反転させた方向から出現する。
f:id:Kawaii_14:20210710125941p:plain

例えば

  • 真北や真南に進む艦載機からは進行方向の前方に
  • 真西や真東に進む艦載機からは進行方向の後方に

戦闘機がスポーンする。
f:id:Kawaii_14:20210710132937p:plain

何が嬉しいか

艦載機を対空圏で消耗させず約1km先の敵をスポットできる。
初動の駆逐艦を発見する時に便利だったりする。
逆に、駆逐艦に乗るときは気をつけたほうが良いかもしれない。

WoWS - 火力スキルはアドレナリンラッシュを最優先しよう

インターネットにて様々なスキルビルドを見た感想です
反論等ある人は優しくしてね定期

結論

アドレナリンラッシュを捨てて他の火力系(装填、ダメージアップ系)スキルを取るのはやめましょう。
アドレナリンと組み合わせるのはアリ(強い)です。

理由

各スキルの効果
時間ない人はDPM向上量だけ見ればよいです

全艦共通
スキル 条件 種別 効果量(倍) DPM向上量(倍)
アドレナリン HP: 100%のとき 全装填短縮 通常: 0
強化版: 0
1
1
アドレナリン HP: 75%のとき 全装填短縮 0.95
0.937...
1.052...
1.066...
アドレナリン HP: 50%のとき 全装填短縮 0.9
0.875
1.111...
1.142...
アドレナリン HP: 25%のとき 全装填短縮 0.85
0.8125
1.176...
1.230...
駆逐
特重徹甲弾(2pt) 常時 APダメージ上昇 1.075 1.075
魚雷装填手(3pt) 常時 魚雷装填短縮 0.9 1.111...
主砲・対空兵装技術者(3pt) 常時 主砲装填短縮 0.95 1.052...
恐れ知らずの喧嘩屋(4pt) 被発見時 主砲装填短縮 0.9 1.111...
巡洋
榴弾・半徹甲弾(3pt) 常時 HE・SAPダメージ上昇 1.1 1.1
強化型魚雷炸薬(3pt) 常時 魚雷ダメージ上昇 1.15 1.15
最上級砲手(4pt) 標準隠蔽距離内に敵艦 主砲装填短縮 0.92 1.086...
戦艦
超重徹甲弾(3pt) 常時 APダメージ上昇 1.075 1.075
接近戦(4pt) 副砲圏内に敵艦 主砲装填短縮 0.9 1.111...

通常艦長のアドレナリンを基準として簡単にまとめると:

  • ダメージ7.5%上昇系: アドレナリン取得時の残りHP65%と同じ
  • 最上級砲手(巡洋): 残りHPが60%になった時点でアドレナリンの完全劣化
  • 接近戦(戦艦)、喧嘩屋(駆逐): 残りHP50%未満でアドレナリンの完全劣化

ARの利点

  • 無条件・常時発動(敵艦を隠蔽圏内に入れたり被発見を受ける必要がない)
  • HP減少で4ptスキルの効果を上回る

ARの欠点

  • HPを削られたことがない、死因の大半が破壊的一撃、といった特殊なプレイスタイルの場合には恩恵がない

AR以外の利点

  • HPが十分に多いときはアドレナリンより有効

AR以外の欠点

  • HPが減少するとARの劣化になる
  • 条件発動系: そもそも発動しないことが多く、効果も大きくない。発動しなければ効果0

特に条件付きスキルはポイント消費が大きく、単体で取得するメリットは薄いです。
(残りHP50~60%以上の状態で発動させ続けないとアドレナリンの劣化になります)

これらの特殊スキルを使いたい場合はアドレナリンと組み合わせましょう。乗算の都合でDPMが跳ね上がります。

WoWS - 散布界の仕組み2(シグマ値)

リバースエンジニアリングから判明したシグマの仕様です。
すべてが正しいとは限らない(リバースエンジニアリングしたコードは正確だが、本当に使われているのかわからない: 実際の生成コードはサーバーサイド)ので、検証で違う傾向が出た、反証がある場合などは優しく教えてください。

スペシャルサンクス(敬称略)

関連するパラメータと説明

散布界の大きさの単位は何でも構いませんが、ここではBW単位とします。30[m] = 1[BW]
注意: 高度圧縮(対数のところ)に影響します。

  • sigmaCount: 所謂シグマ値。T8までの巡洋艦駆逐艦は殆ど2.00、T9以上の巡洋艦は2.05、戦艦は多種多様
  • 水平散布界 [BW]: 前章参照
  • 垂直散布界 [BW]: 前章参照

散布点の生成とシグマ値の仕組み

  1. 散布界の中心(エイムしている点)を原点とする
  2. ランダムな角度[0, 2π)と水平、垂直散布界を用いて楕円周上の点Pを取得
  3. sigmaCountを元に[-1, 1]の範囲で乱数を作成
    1. ガウス分布(平均0.0, 標準偏差\frac{1}{sigmaCount})で乱数を抽出
    2. 1.の生成値が[-1, 1]の区間内にない場合、一様分布 [-1, 1)で再生成
  4. Pの各座標に前述の乱数を乗じることで楕円の中心へ向けて移動させる
  5. Pの高さYが0より大きい(海面より高い)場合、10\ln{(\frac{Y}{10}+1)}で置き換える。
  6. 砲弾はこの点を通る
f:id:Kawaii_14:20210325180847p:plain
MSPAINT_3MIN.EXE

ガウス分布の生成で使われる標準偏差が小さいほど(=sigmaCountが大きいほど)0付近の数が出やすくなり、砲弾が散布界の中心へ飛びやすくなります。

キョム

WoWS - 対空スキル解説(巡洋2ptスキルの効果は表記より低い)

手短に

熟練対空砲手(巡洋: 2p, 戦艦: 3p)

対空セクター強化率の最大値を+25%する。港画面では適用されない。(「対空火力>対空セクター強化」の部分)
効率の観点から言うと、加算なので巡洋(基礎50%)より戦艦(35%)のほうが恩恵を受けやすい....が、戦艦スキルに余裕はない
あくまでセクター強化率を変更するものなので、実際のダメージは1.25倍にならない。
巡洋艦で 1.75/1.5 = 1.16....倍、戦艦で1.6/1.35 = 1.185...倍程度。それでも昔の基本射撃よりは遥かに強い。

対空砲手(巡洋: 4p, 戦艦: 2p)

継続/バブルダメージ+20%。戦艦は+10%
このスキルは純粋にダメージをアップさせるので、額面通りの倍率が出る。
巡洋艦で熟練対空と組み合わせると対空1.4倍、刷新前で言うと常時DFAA中みたいな状態。
DFAAも発動すれば継続2.1倍に達する。本当に強い。
巡洋艦、なぜ"熟練"のほうが安いのか、どうして熟練より効果が高いのかなど疑問は尽きない。使いまわしの結果